
HubSpot社主催「INBOUND 2024」イベントレポート
HubSpot主催の「INBOUND 2024」は、9月18日から20日まで米国ボストンで開催され、マーケティング、セールス、テクノロジー業界の最新トレンドやHubSpotの新機能についての発表が行われました。
今年の大きなテーマは「AIの活用」。特にマーケティングやセールス、カスタマーサポート分野において、AIがどのように業務を効率化し、パーソナライズを強化し、コンテンツ制作を向上させるかに焦点が当てられました。
HubSpotを今後活用していくうえで、HubSpotの方針や最新動向を把握していくことは大変重要ですので、今回はイベント内容の紹介も踏まえつつ、HubSpot活用の観点からの「気づき」なども発信していければと思います。
「使いやすさ、即効性、一元化」✖️AI活用による製品進化
今回のイベントでは、CEO ヤミニ・ランガン氏、CTO ダーメッシュ・シャア氏、EVP アンディ・ピトレ氏という豪華メンバーが登壇し、HubSpotの方針である「使いやすさ、即効性、一元化」をキーワードに、AIを中心とした大規模な製品革新が発表されました。
主な発表内容としては、HubSpotの新しいAI「Breeze」が挙げられます。「Breeze」の導入により、マーケティング、セールス、カスタマーサポートのすべての領域で、より効率的かつ迅速に作業が行えるようになるとのこと。
HubSpotの新しいAI「Breeze」がもたらす業務革新
特に「Breeze Copilot」や、コンテンツ作成や見込み客調査、カスタマーサポートを支援する「エージェント」機能が目玉となっており、作業の自動化と一貫性の向上に貢献すると紹介していました。 また、「Breeze Intelligence」も新たに導入され、顧客データの充実と意図の把握が強化されました。
これにより、営業・マーケティングチームが顧客の購買意欲をより的確に予測し、パーソナライズされた対応が可能とのこと。 これらの機能強化により、HubSpotはチーム全体の統合と迅速な成長を支援し、使いやすく一貫性のあるプラットフォームを提供していくようです。
コンテンツはほとんど「読まれない」時代になってきている
長い間「コンテンツは王である」と言われてきましたが、これはもはや通用しないようです。その理由の1つは、現在、毎日インターネット上で46億件ものコンテンツが作成されており、その多くがまったく読まれたり見られたりしていないのだそうです。
多くの人がAIを使ってコンテンツを大量生産していますが、Googleのデータによると、94.29%のウェブページはトラフィックを得ていないという結果が出ています。同様に、ソーシャルメディアの投稿の59.4%は、全くエンゲージメントが得られていないデータもあるようです。
AIを使ってコンテンツを生成する人が増えていますが、AIで作られたコンテンツは必ずしも効果的ではないといえます。人間が書いたコンテンツの方が、AIで生成されたコンテンツよりも約5.4倍多くのトラフィックを得ているというデータもあります。
AIをパートナーに見据えたマーケティング運用が求められていく
今回のイベントを通して、日本とアメリカの個人情報環境の違いや、英語優先などのハードルもあるので日本国内で機能恩恵ががフルに活用できるわけではないですが、AIをパートナーに見据えてビジネスに取り込んでいく速度は十分体感できました。
HubSpotの最新AIプラットフォームや機能は、マーケティングやセールス、カスタマーサポートといった業務範囲に留まらず、企業の経営にも深く関わってくるものと思いました。
一方で、コンテンツ発信の部分では、AIが万能でない可能性も示唆しています。AIに全てを委ねるのではなく、「AIを活用することで最適な価値を生み出せるのか?」という視点は常に持っておくべきなのかもしれません。
HubSpotに限らず昨今ビジネス領域における生成AIの活用範囲はスピーディーに拡充していっています。我々も最新情報を常にキャッチアップしつつ、「どう活用していくべきか」の部分を多角的に議論していくことが重要であると考えています。