成果を出しているオウンドメディアほど、記事の中身だけでなく、ユーザーがどう読み、どう行動するかという“体験全体”を設計しています。
本記事では、株式会社コンテナが実際の制作現場で重視している考え方をもとに、オウンドメディアに最適なWebデザインとは何かを、UI/UX・SEO・CVの3つの視点から整理し、実践的に解説します。オウンドメディアの成果は、SEOによる検索流入、UXによる読了体験、CVによる成果獲得の3要素がバランスよく機能することで最大化されます。この3つはそれぞれ独立したものではなく、相互に影響し合う関係にあります。そのため、いずれか1つだけを強化しても、メディア全体としての成果にはつながりません。
たとえば、SEOを重視して検索流入を増やしたとしても、レイアウトが読みにくければ滞在時間は伸びず、結果として評価は下がってしまいます。反対に、UXを重視して読みやすいデザインを追求しても、検索エンジンに正しく評価されなければ、そもそも記事は読者に届きません。さらに、記事が最後まで読まれたとしても、コンバージョンへの導線が弱ければ、問い合わせや資料請求といった成果には結びつかないのです。検索エンジンに正しく評価されるためには、ページ構造と表示パフォーマンスを意識した設計が必要です。
Hタグの適切な階層設計やパンくずリスト、内部リンクの整理は、情報構造を伝えるうえで基本となります。また、LCP(Largest Contentful Paint)、INP(Interaction to Next Paint)、CLS(Cumulative Layout Shift)といったコアウェブバイタルへの対応や、スマートフォン表示の最適化も、現在のSEOでは重要な要素です。
UXの役割は、ユーザーがストレスなく最後まで読み進められる状態を作ることです。
フォントサイズや行間、余白の取り方によって可読性は大きく変わります。くわえて、スクロールを妨げない情報設計や、見出しやビジュアルによる視線誘導、ページ全体でのレイアウトの一貫性も、読了率を左右するポイントになります。
そして、成果に直結するのがCV設計です。
記事末に明確なCTAを配置することはもちろん、関連記事や資料ページへの自然な誘導、クリックやページ遷移時のストレスを感じさせない導線設計が重要です。読了後の行動が明確であるほど、ユーザーは次のアクションに移りやすくなります。
オウンドメディアのSEOは、キーワードを盛り込むだけで成果が出るものではありません。検索エンジンが内容を正しく理解でき、かつユーザーにとっても迷わず読める構造を、デザインの段階から設計することが重要です。
ここでは、SEO強化に直結するオウンドメディアのデザイン原則を整理します。
なお、SEOを意識した構造設計やコンテンツデザインなどの考え方を、生成AI(LLM)時代の視点も含めて体系的に整理したい方は、SEOとLLMの両立を見据えたWebサイト構造設計の在り方を解説したこちらの記事も参考になさってください。
【SEOを強化するWeb制作】検索にもLLMにも強いサイト構造とデザインの作り方
SEOに強いメディア設計の基本は、情報の整理と階層化にあります。
見出し構成はH1からH3までの階層を意識し、記事全体の流れがひと目で把握できる状態を作ることが重要です。これにより、読者は知りたい情報に素早くたどり着けるようになり、検索エンジンにとってもコンテンツの主題が明確になります。
記事内の目次や固定ナビゲーションも、ユーザーの利便性を高める有効な要素です。読み飛ばしや再訪問時の回遊を促すだけでなく、ページ構造を明確に示す役割を果たします。また、ArticleやBreadcrumbといったSchema.orgの構造化データを適切に設定することで、検索結果での表示が最適化され、クリック率向上にもつながります。
内部リンクはSEOの基本要素であると同時に、UX設計の一部です。関連記事ボックスや関連コンテンツへの導線は、記事末やサイドエリアなど、読了後の行動を想定した位置に自然に配置することで効果を発揮します。
また、アンカーテキストは検索エンジン向けの最適化だけでなく、読者がクリックしたくなるかどうかという視点も欠かせません。リンク先の内容が直感的に伝わる表現を用いることで、回遊率の向上と滞在時間の増加が期待できます。こうした回遊を生むレイアウト設計は、結果としてサイト全体のSEO評価を底上げします。
オウンドメディアの記事が最後まで読まれるかどうかは、文章の内容だけで決まるものではありません。ユーザーがどのように画面を見て、どのタイミングで読み進めるか、あるいは離脱するか。その一連の行動を左右するのがUI/UXデザインの設計です。
ここでは、読了率を高めるために押さえておきたいUI/UXのポイントを紹介します。
文章を快適に読み進められるかどうかは、文字まわりの設計に大きく左右されます。
これらを適切に設定することで、読者がストレスなく記事を読み進められ、読了率が自然に向上するでしょう。
オウンドメディアは、記事を読まれるだけでは成果とは言えません。問い合わせや資料請求といったアクションにつなげてこそ、メディアはビジネスに貢献します。そのためには、記事単体ではなく、記事中・記事末・サイト全体を含めた導線設計を戦略的に組み立てることが欠かせません。
ここでは、記事からCVにつなげるうえで押さえたい導線デザインを解説します。
記事を最後まで読み終えたユーザーは、内容への理解と関心が最も高まった状態にあります。このタイミングで提示するCTAの設計が、CVRを大きく左右します。
CTAの種類は、資料ダウンロードやサービスページへの導線、関連コンテンツへの遷移など、ユーザーの検討フェーズに応じて選ぶことが重要です。文言についても、いきなり問い合わせを促すのではなく、次の一歩として自然に興味を引く表現を用いることで、心理的なハードルを下げられます。
あわせて、ボタンの色やサイズ、余白の取り方といったデザイン面の工夫も欠かせません。周囲の要素と適切なコントラストをつけ、必要以上に主張しすぎない設計が、結果的にクリック率を高めます。
モバイル最適化は、SEO・UX・CVRすべての土台となる設計要素です。
ユーザーの操作性を前提に考え抜いたデザインが、記事の読了率を高め、結果としてCV率の向上につながります。オウンドメディアで成果を出すためには、モバイル視点から設計することが不可欠です。
オウンドメディアの成果は、記事を公開した時点では完成しません。
継続的に成果を高めていくためには、PDCAサイクルに沿ってデータを分析し、改善を積み重ねていくことが欠かせません。公開後は、SEO・UX・CVそれぞれの視点から指標を確認し、次の打ち手につなげていくことで、メディア全体の価値を高められます。
オウンドメディアで成果が上がらないケースには、SEOやUX、CVのどれか1つに偏ったデザインが採用されているという共通点があります。見た目だけを整えても成果は伸びず、逆に数値が悪化してしまうこともあるため注意が必要です。
こうした失敗を避けるには、SEO、UX、CVの3つを同時に満たすことを前提にデザインを組み立てることが重要です。見た目の美しさだけに偏らず、成果につながる要素を丁寧に積み上げていくことが、オウンドメディアを成功させるための大切なポイントになります。
オウンドメディアの成果を最大化するためには、単に美しいデザインを追求するのではなく、ユーザーに読まれる体験を提供するデザインが最も重要です。読者が迷わず読み進められ、必要な情報にたどり着き、自然に次の行動へ向かえる設計こそが、SEOとCVの両面で効果を生む要素になります。
以下にポイントをあらためて整理します。