ブログ

BtoB製造業のコンバージョン率改善で押さえるべき重要指標とKPI設定

作成者: 阿部 千夏|2025年04月15日

BtoB製造業において、Webサイトは単なる情報提供の場を超えて、見込み客との重要な接点となっています。しかしながら、サイト改善を試みても期待通りの成果を上げられず、問い合わせや資料請求が増えないという課題に直面している企業も少なくありません。こうした状況を打破するためには、コンバージョン率(CVR)の改善が鍵となります。コンバージョン率を向上させるには、ただ単に訪問者数を増やすだけでなく、訪問者の行動を深く理解し、効果的なKPI(重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。

本記事では、BtoB製造業においてコンバージョン率を改善するために必要な「重要な指標」と「KPIの設定」について解説します。最終的な問い合わせや資料請求へと繋げる道筋を明確にしていきましょう。

BtoB製造業では多くの場合、長期間にわたる複雑な購買プロセスが存在し、意思決定には複数の関係者が関与します。コンバージョン率を向上させるためには、ホワイトペーパーやウェビナーなどを通じて、見込み顧客に価値ある情報を提供し信頼関係を構築するなど、ターゲットとなる企業の業界特性や規模に応じたアプローチが必要です。

そして、BtoB製造業がコンバージョン率を改善するためには、まず重要な指標を把握することが必須。これら5つの指標は「サイトがどれだけ目標を達成しているか」を理解するために欠かせない要素であり、定期的な確認が必要です。

次に、上記で紹介した5つの重要指標について、詳しく見ていきましょう!

コンバージョン率が高いということは、訪問者が提供される情報や商品に興味を持っている証拠であるといえます。またUXが優れておりWebサイトが使いやすいことも、コンバージョン率の向上につながります。

BtoB製造業においてコンバージョン率が重要なのは、それが収益に大きく影響するからです。BtoBの取引では、長期的な関係を築くことが重要であり、一度の成約が大きな利益を生むことが多いです。また、BtoB取引では顧客が意思決定をするまでに時間がかかります。そのため、リードの質を高めたり、適切なタイミングでフォローアップを行うことが鍵となります。

さらに、BtoB製造業は通常、ターゲット市場が限られているため、限られたリソースを最大限に活用しなければなりません。コンバージョン率の向上は、このリソースを最適に配分する手助けとなり、競争力を高めるための重要な戦略です。

訪問者数は、企業の製品やサービスにどれだけの関心が集まっているかを知るための基本的な指標と言えるでしょう。

訪問者数が増えると、企業の知名度が高まっていることを意味し、潜在的な顧客が増えている可能性があります。また、多くの訪問者がいるということは、サイトのコンテンツがターゲット層にしっかり届いている証拠です。逆に訪問者数が少ないと、コンテンツやSEO戦略の改善が必要かもしれません。

さらに、訪問者数は広告やメールマーケティングの効果を測るのにも役立ちます。キャンペーン後に訪問者数が増えれば、その施策がうまくいったことが分かり、マーケティング戦略をより効果的にするための判断材料となるでしょう。

最後に、訪問者数は競合との比較にも使えます。他社と自社の訪問者数を比べることで、自社が業界内でどの位置にいるのかを確認でき、競争力を高めるための戦略を立てるのに役立つのです。

BtoB製造業において、直帰率はWebサイトの運用と顧客関係の構築にとても重要です。高い直帰率は、サイトの内容や使いやすさが訪問者の期待に合っていない可能性を示します。これは、ユーザーが求める情報をすぐに見つけられなかったり、サイトの操作が難しいことが原因かもしれません。

訪問者は、製品やサービスの詳細、価格、導入事例、顧客の声などの情報を探していることが多いです。これらの情報がしっかり提供されていないと、訪問者が他の競合サイトに移ってしまう可能性も高まります。だからこそ、直帰率をうまく管理することは、潜在顧客を引き留め購入に繋げるために大切なのです。逆に、直帰率が低いと、訪問者がサイト内でたくさんの情報を探していることを示します。直帰率は定期的にチェックし、改善を行うようにしましょう。

平均セッション時間が重要な理由は、訪問者がどれくらいそのサイトに興味を持っているかを示す指標だからです。例えば、訪問者がサイトに長く滞在している場合、ユーザーがコンテンツをしっかり読んで、製品やサービスについて理解を深めている可能性が高いです。特にBtoBのビジネスでは、訪問者が詳細な情報を求めていることが多く、長いセッション時間は上記を示しています。

さらに、訪問者がサイト内で時間をかけて情報を探すことで、問い合わせや資料請求などの次のアクションを起こす可能性が高まります。セッション時間が短いと訪問者がサイトに満足していない可能性があり、改善が必要ということです。

また、長いセッション時間はSEOにも良い影響を与えます。検索エンジンは良いUXを提供するサイトを高く評価します。つまり、訪問者が長く滞在するサイトは、質の高いコンテンツを提供していると見なされ、検索順位の向上などポジティブな効果をもたらす可能性が高いです。これによりさらに多くのユーザーを引き込むことができるでしょう。

リードとは、問い合わせフォームへの入力やホワイトペーパーのダウンロードなど、企業が定義する特定の行動を取った訪問者を指します。リード獲得率は訪問者数に対するリードの数をパーセンテージで表したものです。

BtoB製造業にとっては、リード獲得が直接的に新しい顧客を得ることや売上を伸ばすことに繋がります。BtoBでは取引が長期間にわたり、金額も大きくなることが多いため、特に質の高いリードを集めることは将来的な利益に大きく影響すると考えられます。

リード獲得率を上げるためには、ターゲットとなるユーザーをよく理解し、適切なコンテンツを提供することが大切です。質の高いリードを獲得できれば、長期間にわたってユーザーとの良好な関係を築き、利益を最大化することも可能でしょう。

さらに、リード獲得率を分析することも、どのマーケティング施策が効果的なのかを評価するために欠かせません。例えば、特定のキャンペーンや媒体が他よりも高いリード獲得率を示す場合、その媒体にリソースを集中させることで、効率的に成果を上げられます。

KPIは、目標を達成するための進捗を測る重要な指標です。特にBtoBにおいてコンバージョン率を改善する際はKPIが非常に役立ちます。KPIをしっかりと設定することで、コンバージョン率を上げるための具体的な道筋が見えやすくなるからです。

KPIを定めると、目標にどれだけ近づいているかを数値で確認できるため、どの施策が効果的かを判断しやすくなります。また、KPIはチーム全体が目指すべき具体的な目標を設定することが多く、全員が一丸となって改善に取り組むことができます。

では、コンバージョン率改善のためにはどうKPIを設定するとよいのか、紹介する下記2点のポイントを意識してみてください。

  • SMARTの法則を活用する
  • コンバージョンのステップごとにKPIを設定

KPIを設計する際は、より具体的で達成可能な目標設定を行うために「SMARTの法則」の活用が有効です。

「SMARTの法則」とは、目標設定を効果的に行うためのフレームワークであり、以下の5つの要素から成り立っています。

例えば、「今月のコンバージョン率を10%向上させる」といった具体的な目標は、漠然とした「コンバージョン率を改善する」という目標よりも、実際の行動に結びつきやすいです。

これにより、進捗状況や成功の度合いを客観的に評価することができます。

例えば、BtoB製造業がWebサイトを通じてリードを獲得することを目指している場合、目標は「月間100件の新規リード獲得」などが考えられるでしょう。この具体的な数値目標により、毎月の成果を計測しキャンペーンや戦略の効果を可視化、リード獲得のためのランディングページの改善やメールキャンペーンの最適化を行うことが可能になります。

例えば、現状のコンバージョン率が1%でそれを改善したい場合。

  • 現実的目標:3ヶ月以内に1.5%に引き上げる
  • 非現実的目標:3ヶ月でコンバージョン率を1%から10%に引き上げる

急激な改善を目指すと、現場の負担が増し効果的な施策を講じることが難しくなります。また、目標は挑戦的であってもいいですが、無理な目標設定はモチベーションを削ぎかねません。現実的な目標であるほど、チームはそれを達成するために努力しやすくなるので、それを踏まえてKPIを考えましょう。

目標は単に達成可能であるだけでなく、その達成が組織の成功にどう寄与するかを明確にする必要があります。

例えば、「新製品の認知度を高める」という目標を設定したとします。この目標がRelevantであるためには、企業全体の戦略、「市場シェアの拡大」や「新規顧客の獲得」などにどう寄与するかを考慮しなければなりません。

期限を設けることで、計画的に行動し、目標達成までのプロセスを管理することができます。目標の達成を促進したり、進捗状況を定期的に確認したりする際に役立ち、必要に応じて戦略を見直すことも可能です。

例えば、「次の四半期末までに現行のコンバージョン率を20%向上させる」「今月末までにランディングページの改善を完了し、コンバージョン率を5%向上させる」「次のキャンペーン開始前にメールマーケティングの戦略を見直し、クリック率を10%増加させる」など。

 

このように、「SMARTの法則」を活用したKPIの設計は、コンバージョン率の改善において効果的な枠組みを作成できます。具体的で測定可能、達成可能で関連性があり、期限が設定された目標は、組織全体の成功にも繋げる重要ポイントです。

コンバージョン率を向上させるためには、コンバージョンのステップごとにKPIを設定することも重要です。特にBtoBの場合は、購買プロセスが複数の段階に分かれているため、それぞれのステップに特化したKPIを設けることで、顧客の行動を細かく分析できるようになり、具体的な改善点を明確にしやすいです。

例えば、新しいソフトウェアを販売するためにコンバージョン率を改善する場合。

  • 初期段階:特定の業界に特化したホワイトペーパーをWebサイトで提供し、訪問者数とダウンロード数をKPIとして設定
  • 見込み客の育成段階:ダウンロードしたユーザーに定期的なメールキャンペーンを実施し、メールの開封率とリンククリック率の数値をKPIとして設定
  • 最終的な購入決定段階:ウェビナーを開催し、参加者に特別な割引オファーを提供するにあたり、ウェビナー参加者からの見積もり依頼数と実際の契約成立数をKPIとして設定

このように、各ステップごとに異なるKPIを設定することで、プロセス全体を通じての障害を特定しやすくなり迅速な対応を可能にします。

コンバージョン率の改善にあたり、より早急な対応と成果を必要とするBtoB製造業は、これらのテクニックを併せて使用すると良いでしょう。

MAの使用がコンバージョン率向上を狙える理由は大きく3つあります。

顧客の行動データを分析することで、何に興味を持っているのか、どの段階で関心を高めるべきかを把握することができます。タイミングよく顧客に関連性の高い情報を提供することで、顧客の関心を維持し、購入意欲を高めることを可能とします。

見込み客の行動追跡、興味やニーズに合わせたコンテンツの提供、MAはこれを自動的に行うことが可能です。例えば、特定のWebページを何度も訪れた場合や、特定の資料をダウンロードした場合、そのデータを分析して最適なタイミングでメールや広告を配信します。

さらに、MAツールはリードスコアリング機能を持っており、見込み客の行動に応じてスコアを付けてくれます。これにより、どの見込み客が購入に近いかを判断し、営業チームが優先的にアプローチすべきターゲットを明確にすることができるのです。

CRMとは、顧客との関係を管理し、強化するためのツールで、「顧客関係管理」を意味します。多くの企業でCRMは活用されており、顧客の情報や過去のやり取りを一元管理し、営業やマーケティング活動を効率化するために使用されます。

MAとCRMシステムの連携によって、営業チームは優先すべき見込み客にフォーカスすることができます。また、営業とマーケティングの連携の強化により、見込み客に対するアプローチが一貫性を持って行えるため、見込み客の関心を逃さずコンバージョンへと繋げることが可能となるでしょう。

具体的には、MAでお客様の興味や行動を追跡し、その情報をCRMに送ることでリアルタイムで状況を確認できるようになります。これによりマーケティングチームはどのキャンペーンが効果的かを詳しく分析でき、そのデータを基に営業チームが営業戦略を調整する流れが整えられるのです。

ABテストは、2つの異なるバージョンのWebページや広告を比べて、どちらがより多くの成果を出すかを確認するものです。

ABテストを行うことで、直感ではなく実際のデータに基づいて決定を下すことができます。どの要素がユーザーに最も効果的に働きかけ、コンバージョン獲得に繋がっているかを明確にできるので、UXを少しずつ改善していくことが可能です。ABテストから得られる情報は、マーケティング戦略全体をより効率的にし、リソースを最適に使う手助けとなるでしょう。

コンテンツマーケティングの強化がコンバージョン率の改善に有効である理由は、顧客との信頼関係を築き、購買意欲を高める効果があるからです。質の高いコンテンツは、企業の専門性をアピールし、見込み客に価値ある情報を提供できるため、購買プロセスをよりスムーズに進めることができます。例えば、「ブログ記事」「ケーススタディ」「ホワイトペーパー」など、多様な形式のコンテンツを通じて、顧客の課題やニーズを的確に捉えた情報を提供。

また、コンテンツはSEOにも役立ち、検索エンジン上で高い評価を得られれば、より多くのターゲットにリーチすることにも可能です検索エンジンでの上位表示は、ユーザーの信頼を獲得しやすく、サイトへの流入向上にも繋がります。

さらには、見込み客の購買ステージに応じた適切な情報提供を可能にし、リードの育成にも効果的です。顧客の購買意欲を段階的に高めることで最終的なコンバージョンへと繋げ、単なる訪問者を顧客へと変えることができるのです。

BtoB製造業におけるコンバージョン率の改善は、ビジネスの成長に直結する重要な課題です。特に、長期的な取引関係を築くためには、訪問者をいかにリードに転換し、そのリードを有効に活用するかが鍵となります。今回紹介したポイントを踏まえ、具体的な目標を設定し、それに向けた施策を実施してください。

また、自社内での施策ではなかなか成果がでないとお悩みの場合は、プロに頼るのも一つの解決策です。専門家の力を借りることで、迅速に既存の課題の特定やその改善を実施することができます。また、外注することで企業は自社のリソースを本業に集中させながらコンバージョン率を向上させることができるでしょう。

コンテナでもBtoB製造業に向けて、コンバージョン率を上げるためのご支援を行っています。Web業界において約15年の制作実績を持ち、「弊社独自の分析」を使いコンテンツマーケティングを行っている他、上級ウェブ解析士が複数在籍しているため、実績と知見から知識を豊富にご提供できます。「コンバージョン率を改善しても成果がでない」「よりコンバージョン率を上げたい」などお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。