
【BtoB製造業向け】問い合わせだけが全てじゃない!Webサイトにおけるゴール設定の極意
BtoB製造業のWebサイト運営では、問い合わせ数が重要な成果指標とされています。これは具体的で測定しやすく、ビジネスに直接影響を与えるためです。また問い合わせは、顧客との関係を築く第一歩であり、将来の契約やパートナーシップにつながる可能性があることも重要視される理由でしょう。
ですが、現代ではより多角的な視点でWebサイトのゴールを設定し、成果を測定することが求められており、問い合わせ数だけを成果と捉えるのはもはや十分ではありません。本記事では、製造業のWeb/マーケティング担当者が直面する「問い合わせだけでは成果が見えづらい」といった課題に対する解決策を紹介します。
BtoB製造業では、なぜ「問い合わせ以外」の計測も必要?
BtoB製造業におけるWebマーケティングでは、「問い合わせ(リード獲得)」を唯一のゴールに設定してしまうと、施策の成果やユーザーの関心度を十分に可視化できず、改善のヒントを得られにくくなってしまうのです。それはなぜか、その理由にはこれらがあります。
- ①商談までのリードタイムが長い
- ②関与者が多い
- ③ニーズの顕在化に時間がかかる
①商談までのリードタイムが長い
BtoB製造業では製品単価の高いケースが多く、比較検討が入念に行われるため、問い合わせまでに多くの時間が必要です。
また、初回訪問ですぐに問い合わせをすることは極めて少なく、複数の情報収集を経て意思決定に至るため、中間行動の可視化は重要とされているのです。
②関与者が多い
BtoB製造業では、製品やサービスを購入する際に技術者、調達担当、経営者など多くの人が関わります。それぞれの立場によって注目するポイントが異なることもありため、1人の行動だけで判断するのが難しいのです。
例えば、技術者は製品の機能を気にし、調達担当は価格や納期を重視し、経営者は全体のコストや戦略との一致を見る、など。このように、複数の関与者がいると単純なデータだけではその企業のニーズを理解するのは難しいでしょう。
③ニーズの顕在化に時間がかかる
顧客が自社の問題を認識し、それを具体的な課題として検討し始めるまでには時間がかかる可能性も高いです。これは、製造業のプロセスや技術が複雑で、複数の関係者が意思決定に関与することが主な理由でしょう。
また、製品のライフサイクルが長く、既存システムとの互換性を考慮する必要があるため、決断が遅れるこもあります。
複数の指標を組み合わせることで、より効果的に成果を計測可能
一般的にWebサイトでは効果的に成果を測るため、いくつかの指標を組み合わせることが多いです。
例えば、Webサイトの訪問者数やページビュー数は、サイトの人気度やユーザーの関心を知るための指標ですが、特定のページでの滞在時間からもコンテンツの魅力度を測ることができます。
また、ダウンロード数やホワイトペーパーの閲覧数は、見込み客がどのくらい情報収集をしているかを示しますが、メールニュースレターの開封率やクリック率も、顧客との関係がどの程度築けているかを評価するのに有効です。
などと他の項目を組み合わせ、マーケティング戦略の改善につなげることが大切なのです。ではBtoB製造業において、何を計測すると良いのか具体的に見てみましょう。

BtoB製造業において、設定すべき四大キーイベントとは
ユーザーがWebサイト上で取る重要なアクションとは大きく下記の4つです。これらはユーザーの興味・関心度や購買意欲の高さを示す指標にもなり、計測するべきと言えるでしょう。
- ①ホワイトペーパーダウンロード(WPDL)
- ②特定ページの閲覧
- ③動画コンテンツの視聴
- ④複数ページを経由したコンバージョン
①ホワイトペーパーダウンロード(WPDL)
ホワイトペーパーダウンロードは、BtoB製造業において見込み顧客の興味を測る大切な方法です。ホワイトペーパーとは、製品の詳細や業界の専門知識をまとめた資料のことで、これをダウンロードすることで顧客は製品やサービスの理解を深めます。また、ダウンロード時には連絡先情報が必要になるため、企業は質の高いリードを集めることができるのです。
例えば、アクセス解析ツールで主流とされるGA4を活用すれば、ホワイトペーパーがどれだけダウンロードされたか、ユーザーがどのように行動したかを詳しく分析できます。これにより、顧客がどんなことに興味を持っているのかを知ることができ、より効果的なマーケティング戦略を立てれるでしょう。結果として顧客との信頼関係を築く手助けとなります。
②特定ページの閲覧
ページの閲覧は顧客の興味を示すサインです。顧客がどのページをどのくらい見ているか、どのコンテンツに興味を持っているかが把握できれば、顧客がどの製品やサービスに関心があるのかを理解しやすくなります。
例えば、ある製品ページがよく見られている場合、その製品に関連する成功事例を共有することで顧客のニーズに合った提案へ繋げられ、問い合わせや商談のチャンスを増やすことができます。
③動画コンテンツの視聴
動画コンテンツは、情報を視覚的に伝えるため、顧客の関心を引きつける効果があります。特にBtoB製造業は、顧客の理解を深め具体的な利用イメージを持たせることが簡単ではないため、テキストや画像だけでは伝えにくいニュアンスを伝える方法として動画はまさに適していると言えるでしょう。
GA4などを使い動画の視聴データを分析し、顧客がどの部分に最も関心を持っているかを把握できれば、問い合わせの増加につなげられます。視聴時間や視聴完了率といった指標を活用して、コンテンツの改善に役立てましょう。
④複数ページを経由したコンバージョン
これは顧客が購入を考えていることを示す指標です。複数のページを訪問することで、顧客は製品についてより詳しく知ることができます。これにより、購入の可能性が高まります。
BtoB製造業における顧客の購入プロセスは、一般的に長く複雑です。製品が技術的で高額な投資となることが多いため、顧客は決定を下す前に徹底的な情報収集を行います。例えば以下のようなページを経由されることが多いです。
製品詳細ページ:顧客は製品に関する基本的な仕様や機能は確認を行います。技術的な詳細や製品の特徴を理解し、自社のニーズに合うかを判断するためです。
導入事例や成功事例ページ:実際の導入事例や成功事例を通じて、製品の実績や信頼性を確認します。これにより製品が他社でどのように活用されているのかが具体的にイメージでき、自社との比較材料にもなります。
価格情報ページ:価格帯やコストパフォーマンスを確認し、自社の予算に合うかを検討します。場合によっては、カスタマイズされた見積もりを依頼することも検討します。
競合比較ページ:競合他社の製品と比較し、差別化ポイントを把握します。これにより、製品の価値や優位性を確認し、最終的な選定の一助とします。
GA4であれば、これらの複雑な訪問経路を詳細にトラッキングすることが可能です。ユーザーがどのページを訪問し、どのような順序で情報を得ているかを把握でき、顧客がどのコンテンツに興味を持っているか、どの情報が問い合わせやコンバージョンに繋がっているかを分析することができます。
これらのイベントをしっかりと追跡し、分析することで、BtoB製造業は顧客に合ったマーケティング施策を展開し、効果的なコミュニケーションを実現できます。

成功の鍵は「ゴール設定」BtoB製造業におけるゴール設定のコツ
BtoB製造業における効果的なゴール設定のためには、購買プロセスをしっかりと理解し、各段階での具体的なアクションを明確にすることが重要です。ここではゴール設定のおける重要な3つのステップについてGA4の活用方法と合わせて解説します。
- 【ステップ1】購買プロセスを可視化
- 【ステップ2】各ステップに対応するイベントを設定
- 【ステップ3】部門別レポートを作成
【ステップ1】購買プロセスを可視化
まず、購買プロセスを可視化することが必要です。これには、顧客が製品を認識し、情報を収集し、最終的に購入を決定するまでの一連の流れを図式化するのが良いでしょう。GA4を活用することで、ユーザーの行動をトラッキングし、どのポイントで顧客が製品に興味を持ち、どの情報が購入決定に影響を与えたかを分析できます。可視化により、各段階における顧客のニーズや課題を把握しやすくなり、適切な対応策を講じることが可能になります。
【ステップ2】各ステップに対応するイベントを設定
次に、可視化したプロセスに基づき、各ステップに対応するイベントを設定します。例えば、ウェブサイト上での製品ページの閲覧や問い合わせフォームへのアクセスなど、具体的な顧客行動をトラッキングするイベントをGA4で設定します。これが、顧客との接点を創出し、購買意欲を促進するための具体的なアクションとなります。これにより、どのコンテンツが効果的でどのステップで顧客が離脱しているのかを把握し、改善策を講じることができます。
【ステップ3】 部門別レポートを作成
最後に、これらのイベントから得られたデータを基に部門別のレポートを作成します。このレポートでは、各部門が自らのパフォーマンスを評価し、具体的な改善点を見出すことができます。GA4の分析機能を活用して、どのマーケティング施策が最も効果的だったのか、どのチャネルが問い合わせを生んでいるのかを明確にし、全体的なプロセスの最適化につなげます。
これらのステップを踏むことで、BtoB製造業は効率的かつ効果的なゴール設定を実現し、競争力を高めることができます。GA4のような分析ツールを活用することで、デジタル時代におけるビジネスの成功を支援します。

「ゴール設定」のよくある失敗と回避方法
先ほど「ゴール設定のコツ」を説明しましたが、その際によくある"失敗"も一緒に把握し、事前にミスを防ぎましょう。失敗例を紹介するとともに、回避策も解説します。
失敗例1:購買プロセスの過剰な複雑化
BtoB製造業において、顧客の購買プロセスを可視化することは、GA4を使って顧客行動を分析する上で非常に重要ですが、詳細に可視化しようとするあまりフローが複雑になりすぎることがあります。これは、各ステップの役割が不明瞭になり、どのステップが顧客の意思決定に影響を与えるのかが分からなくなるという問題を引き起こします。
例えば、顧客が製品情報を得てから問い合わせに至るまでのプロセスをあまりにも細かく分けすぎると、データ分析の際にノイズが多くなり、重要なインサイトを見逃す可能性があるのです。
回避方法:顧客が意思決定を行うタイミング・要因の明確化
重要なステップにフォーカスすることが必要です。具体的には、顧客がどの段階で意思決定を行うのか、またその決定に影響を与える要因は何かを明確にするようにしましょう。
まず、顧客の購買プロセスを大まかに捉え、主要なステップのみを特定することで分析の焦点を絞ることができます。そして、顧客が実際に問い合わせを行う前に、どの情報やステップが決定を左右するのかを理解し、そのポイントをフローの中で強調すると良いでしょう。さらには、フローをできるだけシンプルに保ちつつ、顧客の意思決定に直接関与する要素を含めることで、効果的なデータ分析を可能にします。
失敗例2: イベントの設定ミス
各ステップに対応するイベントを設定する際、トラッキングの範囲が広すぎたり、逆に狭すぎたりして、正確なデータが得られないことがあります。これは、GA4でのイベントトラッキングが柔軟である反面、設定次第でデータの精度に大きな影響を与えてしまうためです。
例えば、BtoB製造業では、問い合わせまでの顧客の行動が複雑であることが多く、その各ステップを適切にトラッキングしないと、どの部分が効果的でどの部分が改善が必要かを見誤る可能性があります。
回避方法:具体的な顧客の行動に基づいたイベント設定
設定するイベントは、明確な目的と測定可能な結果を持つものに限定します。具体的な顧客行動に基づいたイベント設定を行い、定期的にその効果をレビューし、必要に応じて調整を加えるようにしましょう。
これにより、顧客が問い合わせに至るプロセスを正確に把握し、どのステップが効果的であるか、またどのステップが改善の余地があるかを明確にすることができます。特に、問い合わせフォームの送信や見積もり依頼など、具体的なビジネス成果に直結するイベントを重視することが重要です。

失敗例3:レポートの活用不足
レポートを作成しても、それを部門間で共有せず、データに基づいた改善策が講じられないケースがあります。この問題は、データがサイロ化され、各部門が独自の判断基準に頼ることで発生します。
GA4を活用すれば、顧客の行動パターンや問い合わせのトレンドを詳細に分析することが可能ですが、これらの情報が適切に共有されないと、全体的なマーケティング戦略や営業戦略に反映されず、ビジネスチャンスを逃すことになるのです。
回避方法:見やすいレポート作成と、部門間のMTGを開催
定期的にレポートを見直し、部門間でのコミュニケーションを促進します。GA4のレポート機能を活用して、データを視覚的にわかりやすく提示し、全員が理解しやすい形で情報を共有しましょう。
さらには部門横断的なミーティングを設定し、データに基づいたディスカッションを行い、全社的な視点での改善策を検討することが重要です。これにより、データに基づく意思決定が可能となり、問い合わせへの対応力を強化することができます。
これらの失敗例を防ぐことで、BtoB製造業における効果的なゴール設定と、問い合わせの増加につなげることができます。
【BtoB製造業】まずは「問い合わせ」+1つのキーイベント設置から実践!
本記事では、 BtoB製造業における重要指標「問い合わせ(リード獲得)」だけをゴールにするのではなく、施策の成果やユーザーの関心度を十分に計測できる他要素の重要性について解説しました。ですが、膨大なデータを一度にすべて追跡しようとすると、混乱を招きかねません。そこで、まずは紹介したキーイベントを1つずつ始めるのも1つの案です。
具体的には、「資料DL」と「問い合わせ」の2つのイベントに焦点を当てて計測を開始。まずは顧客がどれだけ興味・関心を示しているかを理解することが大切です。基礎データの収集に慣れてきたら、「動画視聴率」や「ページ滞在時間」などの追加指標を導入していくと良いでしょう。これにより、ユーザーのコンテンツへの関心度やサイトの魅力をより詳細に把握でき、改善策を講じるための材料が増えます。段階的に計測項目を増やすことで、データの正確性と分析の深度を高め、効果的なマーケティング施策の構築に役立てることができます。
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