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HubSpot『カスタムオブジェクト』について知っておくべきメリットとは?作成方法も解説

作成者: 阿部 千夏|2024年07月09日

HubSpotのカスタムオブジェクトは、企業が独自のビジネスモデルやプロセスに合わせて、柔軟にデータ管理と分析を行えるCRMです。

本記事では、カスタムオブジェクトとは何か、またメリットや具体的な作成方法について詳しく説明します。

HubSpotのカスタムオブジェクトは、標準のオブジェクト(コンタクト、企業、取引など)では対応しきれないニーズに適したツールです。企業は自社独自のデータ構造を作成し、より柔軟で細かなCRM(顧客関係管理)を作ることが可能に。

またデータモデルのカスタマイズも簡単で、特定の目的に合わせてデータの分類や関係性を設定できるため、特化型のCRM構築に向いています。

カスタムオブジェクトの大きな特長は、柔軟性と拡張性。自身のビジネスプロセスやデータ要件に応じて自由に設計できるため、既存のシステムに縛られることなく、最適なデータ管理を行えます。

また、新たな要件や市場の変化に対応する必要が生じた際にも、カスタムオブジェクトを追加・修正することで、システム全体を再構築することなく柔軟に処置ができます。

さらには、特定の業種やビジネスモデルに特化したカスタマイズが可能という点、企業にとっても対応できる幅が増えメリットとしか考えられません。

このように、HubSpotのカスタムオブジェクトは企業の独自ニーズに応じたデータ管理を可能にします。ニーズに合わせてデータを定義し、ビジネスプロセスを設計することで、より効率的で効果的なCRMを構築できるのです。

HubSpotには、あらかじめ搭載されている規定オブジェクトがいくつか存在します。一般的なCRMにおいてよく使われるデータ構造が多く、主な規定オブジェクトは「コンタクト(Contacts)」、「企業(Companies)」、「取引(Deals)」、「チケット(Tickets)」です。

その名の通り、HubSpotのCRMシステムに独自のオブジェクトを新たに追加することも可能です。これにより企業は自社のビジネスプロセスや特定のニーズに合わせて独自のデータモデルを構築できるという訳です。標準オブジェクトでは対応しきれない固有のデータ要件を満たすために利用されます。

HubSpotのインターフェースでカスタムオブジェクトを作成し、フィールドやプロパティを自由に定義できるので設定も難しくありません。また他のオブジェクトとの関係性まで設定を可能とし、特定のビジネスプロセスに最適化されたCRMシステムの構築、データの一元管理と分析がしやすくなります。

CRMとカスタムオブジェクトは、企業が顧客情報を効果的に管理・活用するためには切り離せない存在です。

カスタムオブジェクトを使用することで、企業は自社のビジネスモデルやプロセスに特化した情報をCRM内で管理できます。

カスタムオブジェクトの設定は、企業の具体的な要件に応じて行えるところがメリットだと先ほど説明しました。特定のデータでも収集、保存、分析を一貫して行うことができ、リアルタイムで情報を把握可能。これは業務の効率化だけでなく、他社との差別化を図る最適な方法ともいえます。

また、カスタムオブジェクトを用いることで、CRMは顧客一人ひとりに適したサービスを提供できるようになると考えます。特定のニーズや行動パターンに基づいた情報を管理することで、顧客一人ひとりに対するアプローチを最適化し、顧客満足度の向上に繋げます。例えば、特定の製品の購入履歴やサポート履歴を記録するカスタムオブジェクトを作成することで、顧客対応の質を高めることができる、など。

カスタムオブジェクトの導入で、より細かな顧客データ管理が可能となるのです。

レコード管理とデータフローの最適化は、CRMシステムの効果的な運用において極めて重要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

カスタムオブジェクトの柔軟性を活かして、企業特有のプロセスに合わせたデータ管理が可能となるため、CRMのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるでしょう。データの一貫性と効率的なフローを確保することで、企業の競争力を高め、顧客満足度の向上をサポートします。

作成する方法は比較的簡単です。

(1)HubSpotのダッシュボードにログインし、上部のナビゲーションバーから「設定」を選択。

(2)左側のメニューから「オブジェクト」をクリックし、「カスタムオブジェクト」を選択。

※ここで、「カスタムオブジェクトの作成」ボタンをクリックすると、作成プロセスが開始されます。

(3)カスタムオブジェクトの名前や識別子を設定。(企業のビジネスモデルやプロセスに応じて自由に設定可能)

(4)フィールドの追加。

追跡したいデータ項目(例えば、顧客の特定の行動や取引履歴など)を設定してください。フィールドはテキスト、数値、日付など多様な形式から選ぶことができ、柔軟にカスタマイズ可能です。

(5)関連オブジェクトの設定。

※この関連付けにより、データの一貫性と統合性が保たれ、情報の検索や更新がしやすくなります。

(6)カスタムオブジェクトのビューとレポートを設定。

ビューはCRM内でどのようにデータを表示するかを決定するもので、レポートはデータ分析に役立ちます。

以上でカスタムオブジェクトが作成され、新しいオブジェクトはすぐにCRM内で利用できます。

カスタムオブジェクトを作成する際には、追跡したいデータとそのプロパティを正確に設定することが重要です。まずカスタムオブジェクトに必要なデータ項目を洗い出しましょう。例えば、顧客の特定の行動、購入履歴、契約情報など、ビジネスプロセスに関連するデータのリストアップなど。次に、これらのデータを管理するためのプロパティを設定してください。プロパティは、テキスト、数値、日付など多様な形式から選ぶことができ、データの特性に応じて柔軟にカスタマイズが可能です。

具体的な設置方法は以下です。

(1)HubSpotの「設定」メニューから「オブジェクト」を選び、「カスタムオブジェクト」をクリック。

(2)カスタムオブジェクトの作成画面で、オブジェクト名や識別子を入力。

(3)「フィールドの追加」セクションで、新しいプロパティを作成。

※ここで、プロパティの名前、フィールドタイプ、説明などを入力し、必要に応じてデフォルト値や必須項目を設定します。

プロパティを適切に設定することで、データの一貫性と整合性が保たれ、後の分析やレポート作成がしやすくなります。また、関連付けデータの統合性を高め、情報の更新や検索がスムーズに行うために重要です。

(4)カスタムオブジェクトのビューとレポートを設定。

ビジネスプロセスを自動化し、効率化するためのワークフローを作成することが可能です。方法は以下。

(1)HubSpotのダッシュボードにログインし、上部のナビゲーションバーから「自動化」を選択。

(2)「ワークフロー」をクリックして、「新しいワークフローを作成」選択。

するとワークフロー作成画面が表示されます。

(3)ワークフローを開始する条件の設定。(例)カスタムオブジェクトのレコードが作成されたとき、特定のフィールドが更新されたとき、など。

(4)ワークフロー内で実行するアクションの追加。

※アクションには、特定のフィールドを更新する、通知を送信する、他のアプリケーションと連携するなど、さまざまなオプションがあります。カスタムオブジェクトに関連するアクションを選択し、適切な設定を行いましょう。

(5)アクションの実行タイミングや条件の設定。(例)レコードが作成されてから一定時間後に実行、特定の条件が満たされた場合にのみ実行など、細かく設定も可能。

(6)ワークフローの設定が完了したら、テストを行い、正しく動作するかを確認。

(7)問題がなければ、ワークフローを有効化して完了。

有効化後、カスタムオブジェクトのレコードがトリガー条件を満たすと、自動的にワークフローが実行されます。

(1)新製品のカスタムオブジェクトを作成し、その中に「販売数」「顧客満足度」「リピート購入率」などの重要な指標をプロパティとして追加。

(2)これらのカスタムオブジェクトを使って、販売活動やキャンペーンの効果を追跡するためのダッシュボードを設定。

※リアルタイムでのパフォーマンス分析が可能となり、迅速な意思決定をサポート。

(3)ワークフローを自動化。例えば特定の販売数に達した際にアラートを発生させる、顧客満足度が低下した場合にフォローアップのアクションをトリガーするなど。

このようにして企業は新製品の販売パフォーマンスを詳細に管理し、必要に応じて戦略を調整しています。

カスタムオブジェクトの活用は、特化したデータを効果的に管理するだけでなく、そのデータをもとにレポート作成や分析も可能とします。

さらに、カスタムオブジェクトのレポートや分析結果は、他のHubSpotツールとも連携可能です。これらのレポートや分析を定期的に行うことで、正確な現状把握と必要な改善が素早く対応できるでしょう。

レポートの作成方法は以下です。

(1)HubSpotのダッシュボードアクセスし、ナビゲーションバーから「レポート」を選択。

(2)「レポートビルダー」をクリックして新しいレポートを作成。

(3)レポートビルダーが開いたら、「データソースを選択」セクションで対象のカスタムオブジェクトを選択。

※レポートに含めたいデータセットを特定します。

(4)レポートに含めるフィールドを選択。例えば、特定のカスタムオブジェクトに関連する属性やフィールド(例:顧客名、購入履歴、キャンペーン反応率など)。

(5)レポートタイプの選択。(表形式、棒グラフ、円グラフなど)

(6)必要に応じてフィルタを設定し、特定の条件に一致するデータのみを表示させる。

(7)データのグルーピングと集計。例えば、月別の売上高やキャンペーンごとの反応率など、特定の基準でデータをまとめます。

(8)レポートのカスタマイズ。(表示する項目の順序変更や、色やスタイルを調整。)

(9)レポートのプレビューを確認。(必要に応じて修正を行います。)

(10)適切な設定が確認できたらレポートを保存。

※保存したレポートはダッシュボードに追加したり、共有リンクを生成してチームメンバーと共有することもできます。

データを分析する方法は以下です。

(1)カスタムオブジェクトに保存されたデータを収集し、分析に適した形に整理。

(2)HubSpot内の分析ツールを使用して、カスタムオブジェクトのデータを解析。(レポートビルダーやダッシュボードなど)

(3)データをフィルタリングし、特定の条件に基づいたセグメンテーションを実施。

※特定のキャンペーンや顧客セグメントに焦点を当てた分析が可能になります。

(4)選択したツールとフィルタリング条件をもとに、実際のデータ分析を実行。例えば、売上パターンのトレンド分析や顧客の行動パターンの解析など。

(5) 分析結果を分かりやすく可視化。グラフやチャート、ピボットテーブルなどを使用して、視覚的に理解しやすい形式でデータを表示。

(6)可視化されたデータをもとに、ビジネスに役立つインサイトを抽出。例えば、特定のマーケティングキャンペーンがどの程度効果的であったか、顧客の購入傾向がどう変化しているかを分析。

(7)抽出されたインサイトをもとに、具体的なアクションプランを策定。

(8)分析結果をレポートとしてまとめ、関係者に共有。

定期的な分析とレポートの作成は、継続的な改善と正確な現状把握をサポートしてくれるため、活用するようにしましょう。

カスタムオブジェクトを活用することで、企業のデータ管理や分析力は一段と向上することでしょう。

高度なデータ管理と分析ができることで、マーケティング戦略の最適化や営業活動の効率化、新製品の市場投入の成功率向上など、ビジネスのあらゆる側面で競争力を高めることができます。また、他のツールとも比較的簡単に連携できるため、データの一貫性を保ちながら、全体的な業務プロセスの最適化も狙えます。ぜひカスタムオブジェクトを使用して競争力を一歩先へ進めましょう。