
カスタマージャーニーマップの重要な役割とは?今すぐ使える実践ガイド
マーケティングでは、どれだけ顧客の行動やニーズを正確に理解できるかが重要です。しかし、「顧客がどのようにして商品やサービスにたどり着くかを明確にするのが難しい」と悩む企業も多いのではないでしょうか。ここで役立つのが「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーマップは、顧客体験を向上させたり、マーケティング戦略を改善したりする際に役立ちます。
本記事では、カスタマージャーニーマップの重要な役割と、作成方法をステップごとに分かりやすく解説していきます。
カスタマージャーニーとは?なぜ今、BtoBに必要なのか
カスタマージャーニーとは、顧客が商品を購入するまでのプロセスを示すものです。このような図を見かけたことはありませんか?

基本的には、顧客は「情報収集」「比較検討」「最終的な購入」というステップをたどるケースがほとんどです。
企業が成功するためには、顧客の行動をしっかりと理解し、必要な情報を適切なタイミングで提供しなければなりません。特に最近では、インターネットを利用して顧客自身が情報を集め、自分で比較して決めることが一般的になっています。これはBtoB業界で特に顕著で、購入に関して多くの人が関与し、意思決定が複雑化しています。このような状況から、カスタマージャーニーマップは企業が顧客のニーズに応えるための必要不可欠なツールとなっているのです。
カスタマージャーニーでできること
カスタマージャーニーを活用すると、顧客のニーズや疑問を事前に知ることができ、マーケティング戦略を立てやすくなります。また、顧客の信頼を得ることや、購買意欲を高めることにも役立つでしょう。
そして、現代のデジタル時代において、カスタマージャーニーはマーケティング戦略に欠かせません。デジタル技術を活用することで、企業は顧客の動きを詳しく追跡し、個々のニーズに合わせた提案をすることができます。顧客とのコミュニケーションもより効果的になるでしょう。
特にBtoB製造業のように、購入決定が複雑で時間がかかる場合、カスタマージャーニーマップは不可欠です。このマップを活用することで、企業は顧客がどの段階にいるのかを理解し、適切なタイミングで必要な情報を提供できます。これにより営業チームは効率的に顧客をサポートし、リード育成ができるのです。
カスタマージャーニーマップ作成の基本ステップ
カスタマージャーニーマップの作成にあたり、基本となる4つのステップを説明します。明日から実践活用できるよう詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。
②認知〜導入〜継続までの購買ステージを定義
③各ステージごとの「課題」「行動」「情報ニーズ」「接点(チャネル)」を洗い出す
④コンテンツや接点に対する改善機会を探る
①ターゲットやペルソナの設定
カスタマージャーニーマップ作成の第一歩として、ターゲットやペルソナの設定は、顧客が「どのような人物」で「どのようなニーズを持ち」、「どのような行動を取るのか」を理解するために重要なステップです。
まず、ターゲットとは、あなたの製品やサービスが最も適している顧客層を指します。例えば、「製造データ分析」や「品質管理」ができる産業用ソフトウェアを提供している企業の場合、ターゲットには以下が当てはまります。
- 製造プロセスの効率化を目指す製造業のプロジェクトマネージャー
- 生産ラインのデジタル化を進める工場のオペレーションマネージャー
- データ分析を活用して品質管理を向上させたい品質保証部門のリーダー
次に、ペルソナの設定です。ペルソナは、ターゲットの具体的な代表例として、年齢、性別、職業、ライフスタイル、趣味嗜好などの詳細な属性を持つ架空の人物像を作成します。これにより顧客の視点に立って考えることが可能となり、より具体的なマーケティング施策の立案に役立つのです。
ターゲット同様、産業用ソフトウェアを提供している企業の場合であれば、以下のようにペルソナを設定できます。

ペルソナ設定時のポイント
設定の際には、既存のデータや市場調査を活用し、顧客の行動パターンや購買動機を把握することが不可欠です。例えば、過去の購買データやWebサイトのアクセス解析を使って、顧客がどのような経路で製品にたどり着いたのかを分析するなど。
そして、ペルソナは一つだけでなく、いくつかのバリエーションを用意することで、異なる顧客層へのアプローチを可能とします。初心者の方は、簡単なペルソナから始め、徐々に詳細を追加していくと良いでしょう。
②認知から購入までの購買ステージを定義
購買ステージ①認知
認知段階は、顧客が製品やサービスの存在を知るきっかけです。ここでは、広告や口コミ、SNSなど様々なチャネルが関与します。
認知段階の人々は新しい情報を発見したり、製品に初めての印象を受けたりします。この段階では、製品が自分のニーズに合うかどうかを考え始め、興味を持つことが多いです。また、「この製品は何に使えるのか?」「他の人はどう評価しているのか?」といった疑問を持ち、情報収集をし始めます。多くの人は好奇心や期待感がありますが、場合によっては懐疑的な気持ちも持つこともあるでしょう。
購買ステージ②興味
興味段階は、顧客が製品やサービスに対して具体的な関心を抱き、さらに詳しい情報を求める段階です。認知段階とは異なり、ここではすでに製品の存在を知っているため、具体的な情報を求める姿勢が強くなります。
製品についての詳細情報を求めてWebサイトを訪れたり、レビューを読んだり、ソーシャルメディアで他のユーザーの意見を探したりします。「この製品は本当に自分に合っているのか?」という期待や好奇心が芽生えますが、同時に「購入して後悔しないだろうか?」という疑問や不安も抱くことも多いです。
購買ステージ③検討
検討段階は、顧客が複数の選択肢を比較し、自分にとって最適な製品やサービスを選ぼうとする段階です。この段階では、顧客は製品の特徴、価格、そして他のユーザーのレビューを詳しく調べ始めます。レビューサイトを訪れたり、ソーシャルメディアで友人やフォロワーに意見を求めることもあるでしょう。「この製品は自分のニーズを本当に満たしてくれるのか?」という疑問を持ちつつ、最終的な決断を下すための情報を集めています。
購買ステージ④購入
購入段階は、顧客が商品やサービスの購入を最終的に決定する段階です。この段階では、支払いプロセスがスムーズであることが重要で、顧客が購入を確定するための最後のステップです。通常、顧客はこの時点で商品やサービスの詳細を再確認し、最終的な価格、配送条件、保証情報などを確認するでしょう。また、「本当にこの商品で良いのか」「他にもっと良い選択肢はないのか」といった疑問や「満足できる買い物ができるだろうか」という不安を抱くこともあります。
購買ステージ⑤アフターケア
アフターケアの段階とは、顧客が製品やサービスを購入した後にフォローアップやサポートを受ける段階です。使用方法のガイドや問題発生時のサポート、フィードバックの収集などが含まれます。この段階での適切な対応により、顧客の信頼を獲得し、リピート購入やポジティブな口コミを通じて新規顧客獲得につなげることが期待されます。
これらのステージを明確に定義することで、企業は顧客のニーズに応じた戦略を立案し、顧客体験を向上させることができます。

③各ステージごとの「課題」「行動」「情報ニーズ」「接点(チャネル)」を洗い出す
課題
「課題」とは、顧客が各ステージで直面する問題やフラストレーションを指します。これを明確にすることで、顧客がなぜ次のステージに進まないのかを分析できるのです。
行動
「行動」は、顧客が特定のステージで実際に行うアクションです。これには商品検索や購入手続きなどが含まれ、これを把握することで、顧客がどのようにブランドと関わるかを理解できます。
情報ニーズ
「情報ニーズ」は、顧客が各ステージで必要とする情報です。購入前には、商品のレビューや比較情報を求めることも多くあります。こうしたニーズを満たす情報提供が、顧客の信頼を得る鍵となるのです。
接点(チャネル)
「接点(チャネル)」とは、顧客がブランドと接触する際に利用するメディアやプラットフォームです。これには、Webサイト、SNS、店舗などが含まれます。
各ステージでどのチャネルが最も効果的かを特定することで、適切なメッセージを適切なタイミングで届けることが可能になります。これらを体系的に洗い出すことで、より顧客中心の戦略を構築できるでしょう。
④コンテンツや接点に対する改善機会を探る
例として、産業用ソフトウェアを提供している企業の想定顧客を「購入前」「購入中」「購入後」のフェーズに分割し、どのような行動や感情が発生しそうかを考えてみます。
購入前
「購入前」には顧客がソフトウェアの機能や価格を比較検討するためにWebサイトを訪れるでしょう。このとき、機能の詳細や導入事例を示すホワイトペーパーや、実際の操作デモを紹介する動画コンテンツがあると、顧客の興味を引きやすくなります。
購入中
「購入中」では、それぞれの接点において顧客が直面する可能性のある障害や不便を洗い出します。産業用ソフトウェアの場合、ライセンス契約の手続きが煩雑である、インストールが複雑で時間がかかるといった問題が考えられます。これらの課題をリストアップし、優先順位をつけて改善策を考えましょう。
購入後
「購入後」は顧客からのフィードバックやレビューを活用することも有効です。例えば実際にソフトウェアを使用した顧客から、操作性や性能に関する意見を集めることで、より顧客の期待に応えるソフトウェア内容に改善することができます。
この一連のプロセスを通じて、顧客満足度の向上とリピーターの獲得に繋がる効果的なカスタマージャーニーマップを作成できるのです。

BtoBにおけるジャーニー設計のポイント
BtoBにおけるジャーニー設計のポイントには下記5点を意識すると良いでしょう。
- 顧客の視点で設計する
- キーパーソンだけでなく「影響を与える人」にも注目する
- マップを作ることがゴールではなく、施策と連動させて初めて意味がある
- 営業・カスタマーサクセスと連携して“リアルな顧客像”を反映させる
- 1つのマップに複数のユースケース(利用目的)を含めず、目的別に作成する
顧客の視点で設計する
まずは顧客の視点を中心に考えることが重要です。企業は自社の製品やサービスを効果的に提供しようとするあまり、社内の都合や視点を優先してしまいがちです。しかし、実際にサービスを利用するのは顧客であり、その過程でどのような体験をするかが購買行動に大きく影響します。そのため顧客のニーズや課題を深く理解することを心がけましょう。
顧客の欲しいタイミングでスムーズに情報を提供
顧客がどのような情報を求め、どのような手段でそれを入手しているのかを調査します。そして、ジャーニーの各段階で顧客が直面する疑問や障壁を把握しましょう。そうすることで顧客がスムーズに情報収集を進められ、必要な情報やサポートを適切なタイミングで提供できるようになります。
また、顧客のフィードバックを定期的に収集し、ジャーニーを継続的に改善することも重要です。このように顧客の視点を優先した設計は、より良い顧客体験を生み出し、結果として企業の信頼性向上や売上の拡大に繋がります。顧客の視点に立つことで、より効果的で顧客に寄り添ったBtoB戦略を展開しましょう。
キーパーソンだけでなく「影響を与える人」にも注目する
購入決定に関与するキーパーソンだけでなく、彼らに影響を与える人々にも目を向けましょう。なぜなら、最終的な決定にはキーパーソンだけでなく、チームなど周囲の意見も大きな影響を及ぼすからです。
全体の購買プロセスを俯瞰し、多様な視点を取り入れる
例えば、実際に製品を使用する現場担当者や、キーパーソンの上司である上長がいる場合。現場担当者は製品の使いやすさや実用性を評価し、彼らのフィードバックは最終的な決定に大きく関わってきます。上長は予算や戦略的適合性を判断するため、彼らの意見も欠かせません。ジャーニー設計において、これらの「影響を与える人々」のニーズや関心を理解し、彼らに響く情報を提供することで、よりスムーズで効果的な営業活動を展開できるのです。
マップを作ることがゴールではなく、施策と連動させて初めて意味がある
カスタマージャーニーマップを作成することは単なる作業ではありません。多くの企業がマップを作ることに重きを置きがちですが、実際にはその先にある施策と連動させることも非常に重要なのです。
顧客体験を向上や購買に導くためのマップ作りを意識
カスタマージャーニーマップで顧客の購買プロセスを視覚化させることで、顧客がどのような段階でどの情報を求めているのかが明確になります。しかし、これをただ作成しただけでは実際のマーケティング活動には結びつきません。マップを基に、各フェーズで顧客の期待に応えるコンテンツを提供し、適切なタイミングでアプローチするための具体的な施策を計画することが重要なのです。
例えば、認知段階では情報提供にフォーカスしたコンテンツを用意し、検討段階では比較資料や導入事例を提示するなど、顧客のニーズに合わせた施策を展開します。こうした施策とカスタマージャーニーマップを連動させることで、顧客体験を向上させ、最終的には購買に導けるのです。この連携がなければ、せっかくのカスタマージャーニーマップも宝の持ち腐れとなってしまいます。

営業・カスタマーサクセスと連携して“リアルな顧客像”を反映させる
ジャーニーの設計は、ターゲット顧客のニーズや行動を深く理解することから始まりますが、そのためには営業チームやカスタマーサクセスとの連携が不可欠と言えるでしょう。営業は顧客との直接的な接点を持ち、彼らの具体的なニーズや課題を日々把握しています。一方、カスタマーサクセスは既存顧客との関係を深め、長期的な満足度や課題を理解しています。この両者の知見を活用することで、顧客のリアルな姿を描けるのです。
各部門との連携は、チーム内で統一した顧客理解にも繋がる
具体的には、営業が収集したフィードバックやカスタマーサクセスが得た顧客の使用パターンを基に、顧客のペルソナを詳細に設計します。これにより、どのような情報が顧客にとって価値があるのか、どの段階でどのようなサポートが必要かを明確にすることが可能です。
さらに、部門間では定期的な情報交換の場を設け、顧客のへ理解を統一させましょう。ジャーニー全体の一貫性を高め、顧客満足度の向上にも繋がります。
1つのマップに複数のユースケース(利用目的)を含めず、目的別に作成する
カスタマージャーニーマップを作成する際は、異なるユースケースを1つのマップにまとめないことも意識してください。顧客ごとに目的や購入段階が異なるため、それぞれのニーズをしっかりと反映したマップ作りが必要です。
顧客行動をしっかり理解することが最重要
例えば、ある顧客は製品の技術情報を求めるかもしれませんが、別の顧客はコスト削減の方法を探している可能性もあります。これらを一つのマップにまとめると、それぞれのニーズに対応しにくくなります。
目的に応じたカスタマージャーニーマップを作成できれば、マーケティングや営業活動も効果的に進められるでしょう。技術情報を重視する顧客には技術的なコンテンツを、コスト削減を求める顧客には費用対効果に関する情報を提供することで購買プロセスをスムーズに進められ、成約率の向上に繋げられるのです。

ジャーニー設計のよくある失敗例
ジャーニー設計にはありがちな失敗例も多く存在します。失敗にすら気付けないケースもあるので、ここでしっかり把握し意識するようにしましょう。
- 営業・現場と乖離していて実態とズレている
- 顧客の「今」に合っていない古い仮説のまま運用
- 作っただけで、運用・改善に活かされない
営業・現場と乖離していて実態とズレている
営業部門や現場の実態と乖離してしまうと、顧客体験の向上を目指すジャーニー設計が、逆に顧客を迷わせたり不満を生じさせる原因になります。
カスタマージャーニーマップを作成する際、多くの人が陥りがちな失敗の一つは、マーケティング担当者だけで作成を進めてしまうことです。営業チームは、日々顧客と接しているため、リアルな顧客の声を知っています。そのため、彼らの意見を取り入れないと実際の顧客の行動やニーズを正しく反映できず、理想だけを描いたカスタマージャーニーマップになりがちです。これでは、顧客が期待する体験と実際の体験にギャップが生まれ、顧客が混乱したり、信頼を失ったりする原因になります。このような問題を避けるためにも、営業チームなど現場の声をしっかりと反映させることが大切なのです。
内部のコミュニケーションを強化し、定期的なフィードバックを受けるなどして改善を重ねましょう。
顧客の「今」に合っていない古い仮説のまま運用
数年前に立てた仮説を基にしたマーケティング戦略が、当時の顧客のニーズや行動を反映していたとしても、時が経つにつれその前提が変わっている可能性も高いです。技術の進化やトレンドの変化により、顧客の期待や行動パターンが変わっていることを見逃すと、提供するコンテンツやサービスが顧客の「今」に合わなくなるので注意しましょう。
例えば、以前はメールマーケティングが主流だった時代に、メールを中心とした顧客ジャーニーを設計したとしましょう。しかし、現在ではSNSやメッセージアプリが主流となり、顧客が情報を取得する手段も多様化しています。このような変化に気づかず、古い仮説に基づいたメールキャンペーンを続けても、顧客に響かず効果を上げることは難しいのです。
顧客の「今」を理解し、定期的に仮説を見直しながら現状に即した戦略を立てることが重要なのです。顧客の動向を常に確認し、柔軟に対応できるような仕組みを整えましょう。
作っただけで、運用・改善に活かされない
設計を作っただけで終わってしまい、実際の運用や改善に活かされていないケースもよく見られます。この問題は、特に初心者の方にとって陥りがちな失敗例です。ユーザーの購買プロセスを詳細に描いたカスタマージャーニーマップを作成しても、それを社内で共有するだけで具体的なアクションに結びつけていないのでは意味がありません。せっかく作ったカスタマージャーニーマップが単なる「飾り」になってしまい、時間と労力の無駄になってしまうことは避けましょう。
例えば、あるeコマース企業がカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーがサイトを訪問してから購入に至るまでのプロセスを分析したとしましょう。しかし、サイトのUI改善やメールマーケティングの最適化などの施策を実行しなかったため、結果としてコンバージョン率が向上しないという問題が発生。

失敗を事前に防ぐ対策術7選
上記で紹介した3つの失敗を避けるためには、ジャーニー設計を基にした具体的な改善施策を立案し実行に移すことが重要です。今回は具体的な改善施策を7つお教えします。
【対策1】営業・CSを巻き込んで実態に沿った設計を行う
【対策2】顧客の声や行動データを反映してアップデートする
【対策3】半年ごとにジャーニーの見直しルールを設定する
【対策4】市場や顧客ニーズの変化に敏感に対応する
【対策5】ジャーニーを施策(広告・営業・Web)に落とし込む
【対策6】KPIやタッチポイントと連携させて活用する
【対策7】チームで共有できる資料や可視化ツールを活用する
【対策1】営業・CSを巻き込んで実態に沿った設計を行う
営業やCS(カスタマーサポート)チームを巻き込んで、実際の顧客体験に基づいた設計を行い、現場の声を反映したリアルなカスタマージャーニーマップを作成しましょう。
まず、営業チームは顧客の購買プロセスにおける直接的な接点を持つため、彼らのフィードバックは非常に貴重です。営業担当者から、顧客がどのような課題を抱えているのか、どのような情報を求めているのかをヒアリングしましょう。
次に、CSチームは購入後の顧客体験に関するインサイトを提供できます。顧客が製品やサービスをどのように利用しているのか、どのようなサポートを必要としているのかを把握することで、カスタマージャーニーマップにおけるアフターサポートのプロセスをより具体的に描けるのです。
これらの情報を基に、実態に即したカスタマージャーニーマップを作成することで、企業全体で一貫した顧客体験の提供と、運用や改善に直結する具体的なアクションプランを策定できるでしょう。
【対策2】顧客の声や行動データを反映してアップデートする
カスタマージャーニーマップを常に最新の状態に保つためには、顧客の声や行動データを定期的に反映するようにしましょう。これは、アンケートやインタビューを通じて顧客からのフィードバックを集め、その情報を基にカスタマージャーニーマップを見直すことです。また、Webサイトの分析ツールや購買データを利用することで、実際の顧客の行動を把握し、改善が必要なタッチポイントを特定することもできます。
このようにデータを活用することで、カスタマージャーニーマップは最新の顧客ニーズを反映し続け、効果的なマーケティング戦略をサポートするツールとなるでしょう。
【対策3】半年ごとにジャーニーを見直しルールを設定する
カスタマージャーニーマップは定期的に見直し、ルールを設定するようにしましょう。目安は半年ごとです。半年ごとに関係者全員で、現在のカスタマージャーニーマップをレビューする会議を設けると良いでしょう。この場で、ユーザーの行動や市場の変化、それに伴う新たなインサイトの共有を行い、カスタマージャーニーマップが現状に適したものとなっているかを検討します。
これにより組織全体で共通の理解を持ち、具体的な改善アクションに繋げられるのです。また、定期的な見直しは、最新の顧客ニーズに対応した戦略の維持にもなります。
【対策4】市場や顧客ニーズの変化に敏感に対応する
市場環境は常に変化しており、顧客の期待や行動もそれに伴って変わります。例えば、新しい技術が登場したり競合他社が新たなサービスを展開したりすると、顧客の購買プロセスに影響を与える可能性があります。
このような変化に対応するためには、定期的に市場調査を行い、顧客の声を直接聞く機会を設けることが効果的です。また、データ分析ツールを活用して顧客の行動パターンをリアルタイムで追跡し、カスタマージャーニーマップを更新するようにしましょう。
具体的には、顧客フィードバックを定期的に収集し、それを基にカスタマージャーニーマップを見直す習慣をつけるといいかもしれません。これにより常に最新の顧客ニーズに合わせた戦略を立てられ、競争力も維持できます。

【対策5】ジャーニーを施策(広告・営業・Web)に落とし込む
作成したジャーニーを具体的な施策に落とし込むことも重要です。ここでは「広告」「営業」「Web」の3つに分けてご紹介します。
まず、広告施策として、カスタマージャーニーマップで特定したユーザーの接触ポイントに合わせた広告を展開することで、より効果的にターゲットにリーチできます。例えば、購入意欲が高まるタイミングで特典付きの広告を表示するなどです。
営業活動においては、カスタマージャーニーマップを基に顧客の購買プロセスを理解し、適切なタイミングでフォローアップや提案を行うことで成約率の向上を目指しましょう。顧客がどの段階にいるのかを把握することで、適切な情報提供が可能となり信頼関係を築くことができます。
Web施策では、カスタマージャーニーマップに基づいてサイトのコンテンツやUXを最適化します。顧客が求める情報をスムーズに提供し、次のステップに繋がる導線を設計することで、コンバージョン率を高めていきましょう。
【対策6】KPIやタッチポイントと連携させて活用する
KPI(重要業績評価指標)やタッチポイントと連携させることも欠かせません。まず、カスタマージャーニーマップ上の各ステージにおける目標を明確にし、それに応じたKPIを設定します。例えば、購入前の情報収集段階であればWebサイトの訪問数や滞在時間をKPIとするなどです。
次に、カスタマージャーニーマップの各タッチポイントを確認し、どのようにして顧客体験を向上させるかを考えます。タッチポイントとは顧客がブランドと接触するすべての機会を指し、これに基づいて具体的な改善策を考えると良いでしょう。例えば、オンラインチャットの応答速度を改善することで、顧客の疑問を早期に解消し、購入意欲を高めるなどです。
これらは定期的に見直し、KPIの達成状況を確認しながらカスタマージャーニーマップを更新していくことで、より効果的な顧客体験の提供が可能となるでしょう。
【対策7】チームで共有できる資料や可視化ツールを活用する
カスタマージャーニーマップを実際の運用に活かすためには、チーム全体での共有と理解が不可欠です。チームで共有できる資料や可視化ツールを活用し円滑に作業を進められる環境を整えましょう。例えば、オンラインのコラボレーションツールを使って、カスタマージャーニーマップをデジタル化し常に最新の状態を保つような体制が作れると、チームメンバー全員が同じ情報にアクセスし、リアルタイムでの更新やフィードバックが可能になります。可視化ツールは、データを視覚的に示すことができ、誰もが理解しやすくなるので便利です。
マーケティングに欠かせない「カスタマージャーニー作成」にはプロの知見も活用!
カスタマージャーニーマップは、顧客理解を深め、効果的なマーケティング戦略を構築するために欠かせないツールです。特にBtoBの分野では、意思決定が複雑であるためカスタマージャーニーマップの活用は不可欠と言えるでしょう。作成にあたっては、ターゲットやペルソナの設定、購買ステージの定義、各ステージごとの課題やニーズの洗い出し、そして改善機会の探求といった基本ステップは欠かさないようにし、顧客に寄り添った戦略を展開しましょう。
コンテナでもカスタマージャーニーの制作におけるご相談や制作依頼など、多数のご支援を行っております。「ターゲットやペルソナ設定がうまくできない」「そもそも何が課題なのかが理解しきれていない」などざっくりとしたお悩みでも構いません。一つひとつヒアリングし、貴社に最適なカスタマージャーニーマップをご提案いたします。
また、社内のリソース的に、カスタマージャーニーマップの制作に多くの時間を割けないという企業さまもいるでしょう。外注を考えているけどどこに頼めばいいのか分からないというご担当者さまも、一度お気軽にご相談ください。