Webサイトのデザインを刷新したのに成果が変わらない──そのような悩みを抱える企業は少なくありません。その理由は、見た目を整えるだけではユーザーの行動や体験までは変えられないことにあります。
本当の成果を出すために必要なのは、「データを基に課題を発見し、根拠ある設計でUIを改善すること」。
私たち株式会社コンテナは、見た目の美しさだけでなく“成果を生むデザイン”にこだわり、アクセス解析やユーザー行動データを基にデザイン改善を行っています。本記事では、実際の事例を交えながら、データを活かしたデザイン改善の考え方とステップを解説します。
Webサイトのデザインを考えるとき、「もっとカッコよく」「もう少し華やかに」といった感覚的な判断だけで進めてしまうケースは少なくありません。しかし、Webサイトは“見た目の美しさを競うもの”ではなく、“目的を達成するためのツール”です。
デザインの基本は「シンプルイズベスト」。
装飾やアニメーションといった演出は、デザイン性を高めるためではなく、“ユーザーにメッセージを印象的に伝えるため”に存在します。つまり、必要な情報が、必要な場所に、適切な形で配置されている──その一つひとつに明確な理由があるべきです。
本来のデザインとは、単に見た目を整える作業ではありません。「どの情報を、どのような形で、どのような順序で届けるか」──ユーザー体験を設計するプロセスそのものです。
そのためには、「なぜこの構成なのか?」「どのようなユーザーを想定しているのか?」といった“意図”と“仮説”の積み重ねが欠かせません。感覚に頼るのではなく、仮説を立て、検証し、改善を重ねる。これが本来のデザイン改善の姿です。
Webサイトには、紙媒体や広告にはない圧倒的な強みがあります。それは、ユーザーの行動をデータとして可視化できることです。
たとえば、GA4(Google アナリティクス)やヒートマップツールを使えば、具体的なユーザー行動を把握できます。
- どのエリアがよくクリックされているのか
- どのコピーやビジュアルに反応しているのか
- どこでスクロールが止まっているのか
- クリック後にどのような行動を取っているのか
これらのデータを基に仮説を立て、構成やUIを見直し、再び検証を行う──。このサイクルを繰り返すことで、初期の想定はより精緻な仮説へと磨かれていきます。
最初のデザインは、あくまで“仮説の出発点”にすぎません。実際のユーザー行動を基に改善を重ねることで、コンバージョン率や滞在時間などの成果指標が少しずつ上がっていきます。
そして、検証と改善を繰り返す中で見えてくるのが、自社にとっての“勝ちパターン”。それこそが、成果を生み出すデザイン改善の鍵となります。
効果的なデザイン改善を行うためには、「感覚」ではなく「データ」に基づいた判断が欠かせません。
Webサイトでは、ユーザーの行動や体験を多角的に捉えるためのさまざまなデータを取得できます。これらを分析することで、どの部分が課題で、どの改善が成果につながるのかを明確にすることが可能です。
特に、以下のような指標はデザイン改善において重要な役割を果たします。
これらのデータを総合的に分析することで、単なる“見た目のデザイン改善”にとどまらず、ユーザー行動に基づいた“体験設計(UXデザイン)”の最適化が可能になります。
アクセス解析やヒートマップで実際のユーザー行動を可視化すると、デザインは整っているのに成果が出ないサイトには、ある共通点が見えてきます。
それは、デザインや情報設計が“目的”ではなく“表現”に偏っていること。以下に、データ分析からよく浮かび上がる典型的なUIの落とし穴をまとめました。
これらの課題は、どれも「ユーザーに何を伝え、どの行動を促すか」という目的意識が不足していることに起因しています。アクセス解析やヒートマップのデータを活用し、UIデザインや情報設計を目的優先で改善することで、成果につながるサイト運営が可能になります。
GA4から得られたデータを基に、コンセプト設計とWebサイトリニューアルを提案・実施した弊社の事例の一部を紹介します。
まずは、TOPページに関して以下の課題と改善策を挙げました。
- 企業の特色が伝わっていない
 → メインビジュアルエリアを広く取り、企業の特徴や強みを明確に訴求。
- グローバルナビゲーションが英語表記のみ
 → 日本語表記に変更し、ドロップダウンメニューを活用してコンテンツ内容を直感的に理解できるよう改善。
- 事業情報がドラムスクロール形式で導線が不明瞭
 → パネル形式に再配置し、ユーザーが目的の情報にたどり着きやすい導線を確立。
- スマートフォン対応が不十分
 → レスポンシブデザインを導入し、スマートフォンでも快適に閲覧できるように最適化。
次に、第2階層についても課題と改善点を提示しました。
- タイトルビジュアルが全ページ共通でコンテンツと連動していない
 → 各コンテンツに応じてタイトルビジュアルを切り替え、ユーザーが迷わない設計に改善。
- 実績や問い合わせへの導線が弱く、CTAが不十分
 → 実績ページや問い合わせページへの導線を明確に設置し、CTA効果を向上。
- テキストのサイズが小さく、全体にメリハリがない
 → 見出し・アイコン・行間を整理し、可読性と視認性を向上。
この事例からわかるように、Webサイトの改善は単なるデザイン変更ではなく、データを基にした課題抽出と設計の積み重ねが重要です。GA4で得られたユーザー行動データを基に、コンテンツの優先順位や導線、可読性、スマホ対応まで総合的に見直すことで、企業の特色を伝えつつユーザー体験を最適化できます。
見た目の刷新だけでは、Webサイトの本質的な成果は生まれません。重要なのは、「データに基づき、仮説→検証→改善を繰り返すこと」です。
ここでは、企業の価値を正しく伝え、ユーザーの行動を引き出すための改善プロセスを、5つのステップで整理します。
デザイン改善の目的は“見た目を整えること”ではなく、企業の価値を的確に伝え、ユーザーの行動を促すことにあります。そのため、まず以下を整理して「現状(As-Is)」を明確にします。
- 企業理念・事業内容・サービス特性の理解
- 強み・弱み、独自資産(アセット)の洗い出し
- コアメッセージ・ブランドトーンの把握
- 現行の事業戦略・マーケティング施策との整合確認
- ターゲットユーザーと行動シナリオの明確化
- 検索・SNS・広告・オフラインなど主要タッチポイントの可視化
次に、ユーザーの行動データと意識データを掛け合わせて課題を発見します。GA4などの定量データだけでなく、「なぜその行動を取ったのか」という定性情報を合わせて分析することで、より精度の高い仮説を立てられます。
- ユーザーインサイト分析(定性)
- →アンケート・ヒアリング・検索キーワード分析などを通じて、ユーザーの課題・心理・意識構造を把握。
- GA4分析(定量)
- →離脱率・滞在時間・CVRなどのデータから、成果に直結する改善ポイントを特定。
- ヒューリスティック分析/ヒートマップ
- →誤クリック・滞留エリア・視線の偏りなどを可視化し、UI上の問題を明確化。
- 競合・ベンチマーク分析
- →他社サイトの構成・導線・メッセージを比較し、差別化ポイントと改善余地を抽出。
- 理想像の定義
- →自社にとって「必要な要素」「不要な要素」「目指すべきUI/UX像」を明確に設定。
こまでの分析を基に、「理想的な状態(To-Be)」を定義します。ユーザーがどのように情報を受け取り、どのような行動を取るのかをストーリーとして設計し、成果につながる体験を描きます。
- As-Is/To-Beのギャップ分析
- コンテンツ構成・導線最適化の方針立案
- 改善施策の優先順位づけ(インパクト×コストの観点で評価)
- KGI/KPI設定
 例:
 - KGI:年間CVRを2倍に向上
 - KPI:CTAクリック率+30%/離脱率−15%/滞在時間+20%
- 差別化・ブランド方向性の明文化
 →「自社ならではの価値」や「ブランド体験」をUI/UXに反映し、“どこにでもあるサイト”ではなく、“ならではの体験が伝わる”をデザインの中で表現する。
仮説を基に、デザイン要件へと具体化します。各フェーズで実装・検証を繰り返しながら、戦略を“見える形”に落とし込むプロセスです。具体的には、以下を実行します。
- 要件定義・ファーストスコープ策定
 →目的・成果指標・範囲・スケジュールを明確化し、関係者全体でゴールを共有。
- 情報設計(IA)
 →情報の優先度と関係性を整理し、ユーザーが迷わず目的へ到達できる構造を設計。
- サイトストラクチャ設計
 →カテゴリ・階層・導線を最適化し、UX全体を可視化。
- ワイヤーフレーム設計
 →レイアウト・UI配置・CTA位置を定義。ヒートマップ想定を踏まえて検討。
- デザイントーン策定
 →ブランドとユーザー心理の両面から、色・フォント・余白・動きをトーン&マナーとして統一。
- デザイン制作・実装
 →見た目ではなく「目的を体現する設計物」として、戦略・データ・設計に基づいてビジュアルを具現化。
- リリース・検証・改善(PDCA)
 →GA4やヒートマップで実際のユーザー行動を追跡し、効果測定と改善を繰り返す。
デザイン改善はリリースして終わりではありません。データモニタリングと継続的な改善体制の構築こそが、成果を最大化する鍵です。以下に、具体的な検証・運用体制をまとめました。
- 月次/四半期ごとの分析レポートとダッシュボード運用
- 改善効果の可視化とナレッジ共有(チーム・経営層間)
- A/Bテスト・ユーザーテストによる継続的検証
- 仮説 → 実行 → 検証 → 改善のPDCAサイクルを回す運用体制の定着
ここまでで、デザイン改善におけるデータの重要性と考え方をご理解いただけたのではないでしょうか。
次に、実際の成功事例を通して、どのような取り組みが成果につながるのかを具体的に見ていきましょう。ここでは、株式会社コンテナが手がけたデザイン改善による成果向上の事例を紹介します。
とある大手スポーツウェアブランドのWebサイトでは、季節ごとに商品の打ち出しを切り替えるタイミングに合わせ、7月までは春夏(SS)、8〜9月には秋冬(AW)向けにビジュアルと導線を全面リニューアル。そのうえで、商品をより探しやすくするため、画像クリックで直接商品ページに遷移できるように導線を最適化しました。
デザイン改善後の数値を検証したところ、複数の指標で大きな成果が表れました。
- 商品ページ遷移率が 28% → 42%(+14ポイント) に向上
- エンゲージメント率が 86% → 91%(+5ポイント) に上昇
- SNS流入(Instagramなど)が 10% → 18% と約2倍に拡大
さらに、写真の印象が向上し、ユーザーが目的の商品を見つけやすくなったことで、直帰率が 13〜14% → 9% に改善。特にスマートフォン利用者の体験が向上し、平均滞在時間も 1分48秒 → 2分21秒(+33秒) へと伸びました。
この事例が示すように、デザインとは「装飾」ではなく、「データに裏付けられた課題解決」です。定量的な視点で改善を重ねることで、見た目だけでなく“成果を出すデザイン”へと進化させることができます。
Webサイトをリニューアルしても、成果が思うように変わらない企業は少なくありません。これは、見た目を整えるだけではユーザーの行動やコンバージョン率は思うように伸びないからです。
本当に効果を生むのは、「データに基づく課題発見」と「意図のある設計」です。ユーザーがどの情報に注目し、どの行動を取るのかを可視化することで、感覚では見逃していた課題を特定し、改善の優先順位を明確にできます。データを起点に設計することで、単なる装飾ではなく、成果に直結する体験をつくることが可能です。
株式会社コンテナでは、アクセス解析やユーザー行動データを基に、“成果につながるデザイン”を設計・改善しています。デザインとコンテンツマーケティングの両面から、「伝わる×成果が出る」サイト設計を支援します。Webサイトのリニューアルやコンテンツ改善をお考えなら、現状のデータ分析からぜひ一度ご相談ください!
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