コンテンツマーケティングの効果を最大化するには、適切なKPI設定が欠かせません。しかし、「どのKPIを設定すればよいのかよくわかっていない」「とりあえず設定してはいるけど成果に結びついていない気がする......」と悩まれているマーケティング担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、コンテンツマーケティングにおけるKPIの概要を説明したうえで、設定する際の手順やポイントをお伝えします。この記事を参考に、KPIの設定方法をマスターして、より効果的なコンテンツマーケティングの実施につなげてみてください!
KPI(Key Performance Indicator)とは、施策の成果と目標の達成状況をチェックするための重要な指標のことです。企業や組織は目標の達成状況をKPIによって定量的に把握し、必要な改善策を講じることができます。
コンテンツマーケティングでは、KPIを設定することによって、SEO記事や動画、ホワイトペーパーなどのコンテンツが最終的な目標であるKGI(Key Goal Indicator)の達成にどのように貢献しているのかを明確に評価できるようになります。以下の図に、KPIとKGIの関係性、またそれぞれの具体例をまとめました。
つまり、KPIはKGIを達成するための“中間目標”であり、進捗状況を可視化することで、プロジェクトが適切な方向に進んでいるのかを確認できるというわけです。KPIの達成状況を確認することにより、各コンテンツの強みや弱みを具体的に理解し、戦略的な改善が可能となります。
KGI(Key Goal Indicator)とは、最終的な目標の達成状況を評価するための指標のことを指します。
すでにご紹介したKPIが中間的な進捗を評価するのに対し、KGIではビジョンや戦略の最終的な達成度を示す点が異なります。言い換えると、KPIとKGIは互いに補完し合う関係にあるため、KPIが適切に設定されていないとKGIの達成が難しくなってしまいます。したがって、コンテンツマーケティングの成果を最大限に引き出すためには、適切なKPIとKGIを設定したうえで定期的に進捗を評価することが重要なのです。
KPIについて理解できたところで、具体的な設定方法を見ていきましょう。コンテンツマーケティングにおいて、KPIを設定する基本的な手順は、以下の通りです。
ここでは、5つのステップに分けて紹介します。
コンテンツマーケティングにおけるKPIを適切に設定するためには、最初にマーケティング活動の目的を明確にしましょう。目的を明確化することによって戦略の方向性が定まり、具体的な成果を測定するための基盤を築くことができます。
たとえば、新規顧客の獲得を目指すのか、既存顧客のエンゲージメントを高めるのか、またはブランド認知度を向上させるのかといった目的によってアプローチ方法は異なります。目的が明確になれば、ターゲットに適したコンテンツの種類や配信チャネルなどが自然と定まってきます。反対に、目的が不明確なままでは、どの指標を設定すべきなのかが曖昧になり、効果的なKPIを設定できない可能性があります。
目的をはっきりとさせることで、自社のマーケティング活動全体の方向性が決まり、KPIをスムーズに設定できるというわけです。
目的を明確化できたら、コンテンツマーケティングを通じて達成したい具体的なゴール、すなわちKGIを設定します。
KGIは目的を数値化したものであり、達成の基準を明確に示します。KGIは、ビジネス目標と一致し、具体的で測定可能なものである必要があります。たとえば、売上の増加や新規顧客の獲得数などが該当します。KGIを設定することによって、マーケティング活動全体の進捗を評価しやすくなり、適切なKPIを設定することにつながります。
コンテンツマーケティングにおける目的とゴールが明確になったところで、それらを達成するために必要な指標を考えます。
コンバージョン率や問い合わせ数、Webサイトの訪問者数など、できるだけ多くの可能性を考慮してリストアップすることが大切です。指標を洗い出す際には、マーケティングチーム全体でアイデアを出し合い、多角的な視点で検討するとよいでしょう。
ただし、指標は実際に集計可能かつ定量的に評価できるものである必要があります。測定が難しい、あるいは数値化が困難な指標は、KPIとして適さない可能性が高いと考えられます。そのため、確実に測定できる指標を選ぶことが重要です。
コンテンツマーケティングに対して限られたリソースを効果的に活用できるよう、洗い出した各指標に優先順位をつけ、重要度の高いものから順に選んでいきます。
指標の数が多すぎると管理が煩雑になるため、絞り込む際には実際の運用面も考慮しつつ、適切な数に絞り込むことが大切です。複数のKPIを設定する場合は、その相互関係を理解し、全体のバランスを取りましょう。なお、優先順位の低い指標は、必要に応じて後から追加できるようにするのも一つの手です。
最後に、選定した指標を自社のコンテンツマーケティングのKPIとして正式に設定しましょう。
具体的には、各指標に数値目標を設定し、達成期限を明確に定めます。数値目標は最初に設定したKGIから逆算して決定し、達成可能な範囲で設定する必要があります。
また、KPIを視覚的に整理するために、KPIツリーを作成するのもよいでしょう。KPIツリーとは、KGIを達成するために必要な各段階のKPIをツリー状に分解したものです。KGIを頂点に置き、その下にKPIを階層的に配置すると、各指標の関係性や優先順位が一目瞭然となり、進捗管理が容易になるのでおすすめです。
コンテンツマーケティングにおけるKPIは、闇雲に設定すればよいわけではありません。成果を出すためには、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
コンテンツマーケティングの成果を最大化できるよう、これら4つのポイントを意識して設定してみてください。
コンテンツマーケティングのKPIの設定時には、簡単に集計できる仕組みを確立することが大切です。データが揃っても集計に時間がかかると、効率的な運用は難しくなるからです。
データの収集と分析がスムーズに行えるように、使用するツールやプラットフォームを統一しましょう。異なるものを使用すると、データの集約が煩雑になるうえに集計ミスも起こりかねません。
また、データを収集する際は、ExcelシートやGoogleスプレッドシートを活用し、データを週次や月次など一定の期間ごとに入力します。自動計算機能を利用すれば、手動計算の手間を省くことができます。メルマガ配信ツールやMAツールなどを利用して、自動的に集計を行うのも効率化につながるのでおすすめです。
コンテンツマーケティングのKPIは、設定して終わりではありません。設定後は定期的に解析を行い、KPIの達成状況を数値でも確認しましょう。
このプロセスによって、KPIが目標に沿ったものであるのか、またマーケティング戦略が予想通りに機能しているのかをチェックできます。たとえば、毎月・四半期ごとにKPIの達成度を確認し、目標に到達していない場合は、その原因を分析して改善策を講じましょう。この際に重要なのが、データ分析ツールを活用し、定量的な指標を用いて評価することです。具体的な数値を基にした議論は、直感や仮説に頼ることなく、事実に基づいた決定を下すことにつながります。
定期的な達成状況の確認を怠ると、マーケティング活動の方向性が正しいのかを判断することが難しくなり、結果的に目標達成が遅れるリスクが高まります。予期せぬ事態やトレンドの変化に対応できず、戦略の修正が遅れてしまい可能性も考えられます。
つまり、KPIの達成状況を定期的に確認し、必要に応じて戦略を見直すことは、コンテンツマーケティングの成功への近道だと言えます。
KPIの数値結果をもとに改善策を実施することも、コンテンツマーケティングの成功には欠かせません。
まず、設定したKPIを定期的に評価し、目標達成度を確認します。データ分析を通じて、どのコンテンツが効果的で、どの戦略がうまく機能していないのかを明確に把握することが重要です。具体的な改善策としては、パフォーマンスが低かったコンテンツの見直しやターゲットの再調査、SEOの最適化、配信チャネルの調整などが挙げられます。
改善策が見出せたら、実施に移していきましょう。改善策を講じたあとは、再度KPIをモニタリングし、変更が目標達成に影響を与えているのかを確認します。このプロセスを繰り返すことによって、コンテンツマーケティング戦略はより洗練され、KGIの達成に近づくことが叶います。
コンテンツマーケティングで成果を出すには、状況に合わせたKPIの柔軟な変更にも対応したいところです。
ビジネス環境や市場の変化、消費者の行動パターンの変化に伴い、初期に設定したKPIが現状に合わなくなることが考えられます。たとえば、コンテンツの目的がブランド認知からリード獲得に移行した場合、KPIもPV数からコンバージョン率へとシフトさせる必要があります。
また、新たな競合の出現や業界トレンドの変化により、ターゲットが変わることも起こりえます。さらに、アルゴリズムの変更や新技術の導入が、コンテンツの評価基準に影響を与えることも少なくありません。
こうした状況に対応するためには、定期的なデータ分析と市場調査を行い、現実的かつ達成可能なKPIを設定することが求められるというわけです。
ここまでお伝えしてきたように、コンテンツマーケティングで成果を出すためには、KPIの達成状況を集計し適切に管理する必要があります。ツールを活用することで、データの収集や解析が容易になり、KPIの設定や達成状況の確認がスムーズになります。
そこでここからは、KPIの設定や計測に役立つ3つのツールを紹介します。いずれも無料で利用できますので、まずは操作に慣れてみましょう。
Google Analyticsは、コンテンツマーケティングのKPIを計測するうえで欠かせないツールです。
特に、ユーザーの行動を詳細に追うことができる機能が豊富に備わっており、訪問者の流入経路やサイト内での行動パターンを明確に把握することが可能です。これにより、どのコンテンツが効果的であるかを数値で判断でき、戦略の改善につなげられます。具体的には、PV数やセッション数、滞在時間、直帰率などの基本的な指標に加え、特定のコンバージョンに至るまでの過程を可視化することもできます。
さらにGoogle Analyticsでは、リアルタイムでデータを確認できるため、迅速かつデータに基づいた意思決定を行えます。
コンテンツマーケティングのKPIの達成状況を把握するために必要なツールとしては、Google Search Consoleもあります。
Google Search Consoleでは、Webサイトの検索パフォーマンスを監視して、検索結果におけるサイトやコンテンツのパフォーマンスを詳細に示すデータを取得できます。これにより、どのキーワードがトラフィックを牽引しているかを理解し、SEOを強化することが可能です。また、インプレッション数やクリック数を通じて、コンテンツがどの程度ユーザーの目に触れているかも分析できます。
Google Search Consoleを活用することで、SEOを強化し、コンテンツの検索エンジンからの自然流入を最大化する戦略を立てられます。
HubSpot CMSとMarketing Hubも、KPIの設定・計測に役立つツールとして挙げられます。
HubSpot CMSでは、コンテンツの作成から管理、最適化まで一元化でき、コンテンツのパフォーマンスをリアルタイムで追跡することが可能です。これにより、訪問者数やコンバージョン率などのKPIを簡単に確認できます。さらに、Marketing Hubを活用することで、メールキャンペーンやSNS活動の効果を詳細に分析することもできます。
両者はシームレスに連携することができるうえに、誰でも直感的に操作できる仕様になっているのも魅力的です。
本記事では、コンテンツマーケティングにおけるKPIに焦点を当て、設定する基本的な流れやポイントをお伝えしました。
コンテンツマーケティングでは、KPIを設定することによって、SEO記事や動画、ホワイトペーパーといったコンテンツのKGIの達成に対する貢献度を定量的に判断し、必要に応じて改善策を講じることができます。
コンテンツマーケティングの成果を出すには、KPIを設定する手順を押さえたうえで、いくつかのポイントも意識したいところです。具体的には、簡単かつ定期的にデータを集計できる仕組みを整え、KPIの数値結果をもとに改善策を実施したり、KPIを柔軟に変更したりしましょう。作業を効率化できるよう、本記事でご紹介したツールを利用するのもおすすめです。
とはいえ、自社内にコンテンツマーケティングのノウハウや人的リソースが不足している場合、「KPIの設定に不安がある」「コンテンツの分析までお願いしたい」といったふうにお考えのご担当者様もいらっしゃるでしょう。マーケティング業務を一括代行できるcontennaにご依頼いただければ、KPIを含めた戦略立案からGoogle Analyticsを用いたコンテンツの解析まで対応いたします。HubSpotの構築・運用代行も可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください!